癌体験談:「乳癌を乗り越えた私の選択」

離婚後、10歳の双子の母として、一家の担い手として時間に追われる日々。
      そして、突然の乳癌宣告。

第2回 乳房切除手術と抗がん剤治療

「入院、そして乳房切除」 病院からは1日も早い入院を迫られました。

仕事の段取り、そして幼い息子達を妹に託す準備で忙しい数日間をやり過ごし、今思えば、入院までの日々というのは、病気への不安を感じる余裕すら持てなかったように思います。

入院して数日後には「乳房切除手術」が施されました。
年老いた両親には余計な心配をかけたくないとの思いから、手術をすることは内緒にしていたので、麻酔から覚めて最初に声をかけてくれたのは、いつも私を気遣ってくれている妹でした。
「痛くない?」
「うん、だいじょうぶ・・・。」
意識がもうろうとした状況でも、妹には感謝の気持ちで一杯でした。

術後の痛みは1週間ほど続きました。
「自分の乳房がなくなっている」 という現実を目の当たりにするのが怖くて・・・。
はじめて傷口を見た時の感想は「ペタンとしたきれいな傷口」でした。
想像していたものよりとてもきれいだったのです。
そしてそのことは 、いろんな思いでいっぱいの私にとっては救いでした。

術後、2週間ほどでリハビリの開始です。
仕事柄、お客様から伺っていた「リハビリの辛さ」はわかっていたつもりでしたが、それは私にとっても想像以上の辛さと苦しさ、 傷口の痛み、筋肉の引きつる激痛、文章ではお伝えすることができないほどです。
でも、「ここで私がふんばらなければ、子供達との元の生活には戻れない!」と考えると、自然と力がわいてきました。

「1日も早く、息子達を迎えに行くためにも頑張らなくては!」

その思いが辛さを乗り越える原動力になったのは間違いありません。
入院生活は50日間ほど、退院したその足で真っ先に息子たちを迎えに行ったのは言うまでもありません。
生意気盛りのふたりの子供も、久々に母親に甘えられることが嬉しいやら、恥ずかしいやら。
子供達は子供達なりに、「母親がすごい病気をした」というのは何となくは理解しているようで、いつもならわがままを言って困らせたり、やんちゃな子供達ですが、その時ばかりは、私をいたわってくれている気持ちが痛いほど伝わってきました。
私にとってはとても大きな励みにもなりましたが、その反面、懺悔の気持ちでいっぱいになりました。
「こんなに小さなあなた達にまで心配かけてごめんね。二度とこんな思いはさせないからね、もう二度と・・・」と子供達を抱きしめました。

「抗癌剤治療」

本格的に抗癌剤治療が始まったのは退院してからでした。
2週間抗癌剤を服用し、2週間休む。
このサイクルを数ヶ月続けました。
個人差はあるようですが私の場合、比較的副作用も楽だったように思います。
とは言っても、【吐き気】【食欲不振】のあるなかで仕事、家事、そして子育て、これらを自分ひとりでこなしていくことはさすがに大変でした。
退院した直後、自分で自分の髪をシャンプーするのすら辛く、友人が私の髪をシャンプーしてくれました。
すると、驚くようなたくさんの髪が抜けたそうで、それを私に気付かれないようにと、そっと処分してくれていたということをずいぶん後になって聞かされました。
そんな友人や、周りの方々の気遣い、やさしさ、に感謝しました。
病気になる前は、母子家庭ということで必要以上に肩に力を入れて生きていた私でしたが、大病を患って気付かされたことの数々。周りの方々の気遣いややさしさは、張り詰めていた私の心さえも、ずいぶん柔らかくしてくれたようです。